帽子を取れ!
学生の頃、自分は帽子が大好きで、いつもキャップを被っていた。形状的にはニューエラ的なツバを真っ直ぐな状態で被るタイプじゃなく、やや曲げるくらいの、本当に普通なタイプのヤツだった。キャップを被っていた理由は至極単純で、髪のセットとか面倒だし、もはや寝癖直すのも面倒くさいから、とりあえず上から覆ってしまえばええやろと。今考えるとおしゃれ盛りの大学生とは思えない所業だし、めっちゃ雑だけれど、今も考え方が変わってないことを踏まえると、これが自分の根本だし性質なんだと思う。
帽子と言えば、学生時代にこんな事があった。相変わらず帽子を被っていた自分は、ある程度弁えていて、授業中はちゃんと帽子を取って講義を受ける真面目な学生だった。その日もしっかり帽子を取って講義を受け終わり、帽子を被った瞬間、なぜか教授にブチギレられたのだ「帽子を取れ!ゴキブリ以下が!」およそ教授とは思えない発言である。
こちらとしてはちゃんと講義が終わったうえで帽子を被った訳だし、なんなら前の方で授業を受けてるし、なんも失礼な事はしていないつもりだった。しかし、教授は信じられないくらいブチギレな訳である。今思い返しても謎でしかない。ただ、その教授の圧倒的ワードセンスは未だに自分の記憶に刻まれてるくらい印象的だし、未だにその教授の名前は覚えている。おう、まだ謝罪を受けてねえぞ。許されると思うなよ。
まあ、今となってはいい思い出だし、話のネタにはなるから別に良い訳だが、冷静に考えると、今の今まで彼がなぜそんなにブチギレたのかは考えたことがなかった。そんな訳で、コレを気にブチギレた理由を考えようと思った次第である。あれ?もしかして無駄なことしようとしてる?まあいいか。
まず一般的に、室内では帽子を取るというのがマナーとして存在している。ただ、正直それだけではそこまでマジギレすることはないはずだ。なんならその日、自分は帽子を被った状態で講義室に入り、着席している。教授もそれは見えているはずだ。そしてその時点では、特に注意を受けることはなかった。
と言うことは、少なくとも帽子自体が直接的なトリガーではないと考えられる。タイミングを踏まえると、彼がマジギレした原因は、講義中の出来事が起因となっている可能性が高いと言えるだろう。ただ、記憶を辿ってみると、講義中に何かトラブルが起きていた記憶はないし、もちろん自分もトラブルを起こしてはない。何だかんだで授業を受ける人間はある程度の良識を守れる人間しかいない学校だったと思う。
じゃあなぜ教授はブチギレてしまったのか。そう言えば、彼の担当するゼミは、比較的やる気のない人間が多く、留年者もそこそこいる、程度が低めのゼミだった。傍から見てても、何をやっているか全然分からないし、仲の良いそこのゼミ生に聞いてみても、そもそもゼミに行ってないと言う人間ばかりだった。トラブルを起こすような奴らではないが、特段プラスになることもない。無である。もしかすると、それでフラストレーションが溜まっていたのかも知れない。
彼は、彼のゼミ生と自分を比較し、自分が余りにも真面目そう過ぎた結果、悔しくなってしまったのかも知れない。そして、八つ当たりしてしまったと。そうだ、そうに違いない。
ゴキブリ=彼のゼミ生
ゴキブリ以下=ワイ
と言う構図を彼の中で作ることによって、自尊心を保とうとしたわけだ。そうかーそうだったのかー、すまんなあ教授!
その後彼がどうなったか分からないし、別に興味はないけど、とりあえずそう言う事にしておこう。だいぶ顰蹙買ってたぜ、当時は。
なんか勢いでよく分からんテキストをだらだら書いたせいで、落とし所が分からなくなったので、今日はこの辺で。
これを読んでしまった人、室内では帽子取れよ!